2006年01月24日

ブルータスとBrute(前編)

「カエサルとクレオパトラの話は知ってるよな? 
クレオパトラはカエサルの力によりエジプトの支配権を手に入れた。
クレオパトラはエジプトの富をつぎこんでカエサルを歓待したんだろうな。
彼らにまつわる遺物を探してみないか? アレクサンドリアで調べてみてくれよ 」

−−−−−−−−−−−−

船室のハンモックに、体を斜めに寝転がる。この、コロン提督がカリブで見つけた現地人の寝具は、先日現地で買ってきた物だが、ふわふわとした浮遊感も心地よかったし、何より噂通り、少々の波が高い時でも、揺れをやり過ごしてくれるのが素晴らしかった。
最近では波が激しい海域に行く際に眠れなくなる新米船員の為にハンモックを準備しておくというのは、『よい船長』の常識となっているようだ。
いずれこの新大陸の道具は、全ての船に標準的に備え付けられる日が来るかもしれない。
といっても、うちの船はまだ船員達にこの新しい寝具を準備してやる程の余裕はなく、常用しているのは船長である自分だけなのだが。

Brute「一人だけのんびりとお休み中の所、申し訳ありませんが」

船長室にノックもせずに入り込む彼に咎めるような真似をしなくなって、もう随分と日がたつ。
こんな彼がいまだにうちの船に乗っていられるのは「まぁ、彼の発言にも正しいところはある」と、大人な対応というやつを身につけた我が人徳のおかげだ。
あと、確かに小言や遠まわしな嫌味が気にならないではなかったが、熟練の航海師であり船員達の心を掴んでいる彼を捨てるのは勿体無いという理由も大きい。
―――逆に『だから大人な対応をしなければならない』というのが腹立たしい限りだが。

Brute「『突然帆を上げろ舵をきれ』では、船員達に不安が募ります。そろそろ目的地を公表していただけないでしょうか。国の極秘任務でもないでしょうに」

読んでいた資料をサイドテーブルに上に放って、仕方なく半身を起こす。
が、資料はゆらゆらと揺れて机から滑り落ちた。

「ちぇ。・・・・とりあえず、進路はこのまま東でいい」

Brute「それですと私掠達が活動盛んな東地中海エリアに入ってしまいますが・・・・」

「目的地はアレクサンドリアだ・・・けど不満が?」

彼がアテネやアレクサンドリアに何かしらの思いを抱いているのは、何となく気が付いている。
そしてそれが多分ある特定の人物に集中しているということも。

Brute「いいえ。目的地さえ教えていただければ結構です。それでは皆に説明してきますので・・・・」

そう言うと床に落ちた資料を拾い上げようと手を伸ばした。
文字を上にして落ちた資料はきっとBruteの目に止まったのだろう。一瞬、手が止まった。

Brute「『カエサルとクレオパトラ』の調査ですか」

Bruteの、顔にも声にも特に変化はない。動揺した素振りも、あの手を止めた一瞬だけだったようだ。
何事もなかったかのように資料をテーブルの上に戻した。

「カエサルの遺物調査。確かブルート、君もカエサルやクレオパトラについて興味があったんだったね。カエサリオンについての調査に行きたいと言ってし。以前冒険に出たいと言って、船を下りようとしたのも実は・・・」

Brute「関係ありません」

「そうか・・・・。ちなみに、君の名前ブルートってのは結構珍しい名前じゃないのか?
確か、獣、畜生、残忍・・・といったような意味があるとか・・・・・そしてラテン語で発音すると、ブルータス」

Brute「・・・・・・・・」

表情は変わらない。怒り出すか嫌味の一言でも言い出すかと思ったが、口を閉じたままだ。

「君も知ってると思うが、最近流行しているあのシェイクスピアが作った戯曲『ジュリアス・シーザー』にブルータスという人物が出てくるんだ。彼は史実通り、シーザーを暗殺する。そして、シーザーは殺されるされる間際に、こんな台詞を吐くんだ。『ブルータス、お前もか』と」

Brute「船長はいつの間にそんな高級なご趣味を身に付けられたのでしょうか。
話が急すぎて何をおっしゃりたいのか分かりませんが、私はラテン語の知識はもとより、演劇なんてものにも興味はありません。
加えて、昔の反逆者や偉人などにも、何の興味もありません。」

「そうか」

Brute「他に用がないのであれば、そろそろ船員達に説明に行きますが」

それ以上の問いかけを拒むように言葉を遮った。

「あぁ・・・すまなかった。今回、上手く行けばカエサルのお宝を拝めるかもしれない。
そう皆に伝えて、士気をあげといてくれ」

Bruteは「了解しました」と軽く頭を下げて、踵を返し部屋から出て行った。


−−−−−−−−

以前、ある街の小型劇場でシェイクスピア原作の芝居を見たのは、本当に偶然だった。

トリスタンに関する調査ではいろいろと無理難題を押し付けてきたシェイクスピアだったが、そこそこの調査費用をくれていたわけだし、おかげでトリスタンの剣を発見することが出来たので、多少恩を感じていた。
なので、一度機会があったら彼の作品を見て見たいと思っていたのだけれど、実際あの作品を見たのは、はなからそれが目的だったわけではない。劇場の入り口側の看板の前で足を止めたのは、彼の名前を見つけたからではなかった。
留められている羊皮紙には、凝ったレタリングで見覚えのある名前が描かれてあった。

『Et tu, Brute』


劇場に入って分かったのだが、その看板の文字は演目ではなく、ジュリアス・シーザーの劇中でシーザーが倒れる間際に叫ぶ名セリフを載せていたものだった。


ジュリアス・シーザー。冒険者ギルドではユリウス・カエサルという名前で統一されているが、貴族や裕福な家では、もうこちらの名前の方が知名度があるのだろう。シェイクスピアが書いた、実際のローマ史実をもとにした戯曲の名前だ。それをもとに多くの演劇が催されているらしい。
主役はタイトル通りシーザーなのかと思っていたが、意外にもブルータスの視点で描かれているらしい。そして、スト―リーはこんな話だった・・・・。

***

富も権力も、絶世の美女と言われるクレオパトラも手に入れたシーザー。そして、その彼に寵愛されていた高潔の人ブルータス。

舞台は、順風満帆なシーザーのもとに訪れる占い師の予言から始まる。「3月15日に注意されよ」と。
カエサルは力を持っていた――それは下手をすれば皇帝と呼ぶに相応しい程の。そんな彼に対し民衆は希望と不安、複雑な思いを抱いていた。
そして反カエサル派の一人が言葉巧みにブルータスを勧誘する。「独裁者の座を狙っているカエサルを、ローマの共和制の為に討て」と。
ブルータスには我が子のように扱ってくれていたカエサルを殺す理由などなかった。けれどローマの、共和制の、市民の為には彼を殺さなくてはならないという相反する思いに苦しむ。
・・・・けれど3月15日。彼は敬愛するカエサルに剣を突き刺す。
そんな彼の行動に対しローマ市民は最初は喝采で迎えたが、カエサルの有能な部下の煽動で、すぐにブルータスらは反逆者として迫害するようになる。
そして、結局ブルータスは追い詰められ、カエサルを殺したその剣で自殺する・・・。


−−−−−−−−


右舷の窓に、白亜の建物が見えてきている。
もうアレクサンドリアは目と鼻の先だ。

自分が甲板に出なくても、Bruteが船員達に指示を与え、寄港準備をしている頃だろう。
もちろんポルトガル国籍の船だと思われないような偽装工作も終わっているはずだ。

船員達に慕われ、また船長である自分も(とりあえずは)一目置いているBrute。
ローマ市民に慕われ、カエサルから寵愛を受けていたブルータス。

もちろん全く同じという訳ではない(本家本元のブルータスがあれ程性格が悪かったわけはないだろうから)だろうが、演劇を見ている間、目の前にいるブルータスとBruteがオーバーラップしていた。

あの日のBruteと。


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中の人の独り言を読む
posted by ケイロン at 23:36| Comment(2) | TrackBack(0) | Story of Brute | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月17日

近況報告

気がついたら、新年一発目以降全然日記を書いていないという状況でした(汗)
どこの辺りがフルスロットルなのか書いた本人も疑問に感じる今日この頃ですが・・・。

ということで、近況報告。

ゲームの中のケイロンは、とりあえず財宝探索家として冒険をする日々を送ってます。
といっても、転職に向けてスキル調整をしていたりして。
優遇であるスキルのうち、考古学、財宝はRが上がり、開錠と美術を1R上げる予定です。
美術はともかく、開錠はほんとに上げる気にならないと上がらないのが辛いです。。。
開錠のRアップまで残り330ぐらい。オンマイさんにはサクッと「ボルドー10回ちょっとですね」と言われてるんですが、ロンドン⇔リスボン間を移動する際や、ナント・ボルドーに行く際についでにやるというぐらいの上げ方なので、遅々としか進みません。
・・・・・でも、毎日1回地図をやれば10日+αぐらいで終わるのか・・・・・。
そう考えるとなんとなく出来そうな気がしてきた!
ってことで今日も開錠頑張ろう。

んで、開錠+美術が上がれば、次は軍人・・・・になろうかと思っていたのですが。
予定変更。薬品商になろうと思います。
目当ては工芸。いよいよ生産スキルの取得です。
実はかなり前に調理スキルを取っていたのですが、かなり前に忘れました(笑)。
というのも、商会加入前にブリアレオス船長に艦隊を組んでもらった時に、船長が自前の料理を物凄い勢いで食べてるいるのを見て自分で料理を作るのもいいかも、と取得してR3ぐらいまでは上げたわけですが。ロンドンで某料理人さんと出会い仲良くなってからは、折角のMMOなので、料理は友人に頼ろうと思いサクッと忘れてしまいました。

んでそれ以来&初の、真面目に商人、真面目に生産となるわけです。

ちなみに、なぜ商人かと言うと

・海事LV上げよりも商人LV上げの方が楽らしい。
・商人は好きじゃない。積荷をA→Bに運ぶだけの航海に魅力を感じない・・・・けれど、商人LVは上げたい。
・藤原さんより受け継いだ商用ジーベックに乗りたい。
(もうすぐ冒険LVはノーマルジーベックに乗れる程ですが)
・というか、貸し金庫枠を増やしたい。

という理由で。
なぜ工芸かと言うと

・冒険家と相性がいい(ような気がする)
・商会や友人に工芸高Rの人がいない(ような気がしていたが、実はそこそこいたことが判明)

という感じです。
藤原さんが抜けた穴を補う為に、造船や鋳造というのも頭に浮かんではいたのですが、やはり根が冒険家のケイロンには合わないかなーと。


ということで、海事転職は工芸をある程度育ててからになると思います。

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posted by ケイロン at 13:00| Comment(4) | TrackBack(0) | ケイロンの徒然日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月06日

明けましておめでとうございます!

ということで短いお休みもあっという間に終わり、今日から本格的に海に戻ってきました(^^
皆様、今年も宜しくお願い致します!!


今年のマイテーマは 『楽しむ!』 です。

今までは自分自身にある程度ブレーキをかけていたんですが、とりあえず最初だけでもフルスロットルで走り出そうかなと思ってます。
(といっても夜は寝ますが。)

騒音&排気ガス撒き散らかすと思いますが、ご勘弁を(汗)




皆様にも、素敵な朝日が昇りますように♪
posted by ケイロン at 01:11| Comment(3) | TrackBack(0) | ケイロンの徒然日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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