2007年05月31日

〜Line〜(前編)

胸を高鳴らせタラップから甲板に飛び移ったあの日。
眩しい朝日に目を細めつつ、停泊している巨大な船の隙間を縫うように小さなバルシャで船出したのがまるで昨日のことのように思えた。
といっても最初に街でかき集めた船員達の顔は、もうほとんどが朧げにしか思い出せないのだけれど。
―― ある者は船を降り、ある者は海の底で眠った。

長く航海をしていれば、幸せなこともあったし、辛いこともあった。
水も食料も尽き、また病気や不注意の為に何人の男達を犠牲にしたのだろうか。
それでも彼らの多くは、自分を信じ、自分の為に船を進ませてくれた。
どこにいても幸せにと願う気持ちは、かつて一緒にいた者達にも、もちろん今この船に乗っている者達にも同じだけ思っている。

テーブルの上に大量に積んだ布袋を無理矢理押しのけてスペースを作り、机の上に突っ伏しながら深いため息を吐く。

「まだまだやるべきことがたくさんある」

自分に言い聞かせる為にわざと声を出す。
しかし分かってはいてもなかなか事は進まなかった・・・・・・その理由も分かっていた。

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posted by ケイロン at 07:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ケイロンの航海物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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